ユーザビリティ≠ユーザーエクスペリエンス?
2011年1月に株式会社クロスフロンティアを設立してから、早いもので10年が経ちました。前職でUX関連の仕事を始めた2006年頃、UX(User eXperience=ユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験)、もしくはCX(Customer eXperience=顧客体験)ということばはあまり認知されておらず、ユーザビリティ(Usability=使いやすさ)ということばが使われていました。
ユーザビリティとUXの違いは、
- ユーザビリティ=ユーザーにとって使いにくいところ、分かりにくいところなどの問題点を修正する、つまりマイナスをゼロにすることを目的とし、
- ユーザーエクスペリエンス(UX)=ユーザーによりよい体験を提供する、つまりゼロをプラスにすることが目的
などと言われることもあります。しかしながら「ユーザビリティ」を定義する ISO 9241-11 には、
とありますので、「ユーザビリティ」にも「ユーザーによりよい体験を提供する」という目的はもともと含まれていたのでしょう。
それらを製品やサービス設計に役立てる活動をHCD(Human Centered Design=人間中心設計)、UCD(User Centered Design=ユーザー中心設計)などと呼んでいます。関連することばはこのほかにもあり、また新しい用語もどんどん出てきているため、馴染みのない方を混乱させるもとになっていると思います。
しかしながら、正直に言ってしまうとどのことばをどんな意味や内容に使っているかは、おそらく組織や使い手によっても異なるので、よくわからなくてもどうぞご安心ください(笑)。
バズワードよりも変わらぬ本質を
Web業界に入ってからはかれこれ20年近くになりますが、技術の変化が激しいことも併せて、全く同じではないにしても似たような内容を指すのにさまざまな用語が「バズワード」として出ては消え、出ては消えしています。
「ユーザーエクスペリエンス(UX)」ということばは、日本ではWeb関連など一部の業界ではよく認知されてはいるものの、Webと近い業界であるSIerさんでも少しずつ認知が広がってきた段階と聞いています。欧米など海外ではUXは製品やサービス設計プロセスの中心に据えられている企業が多いため、「UXリサーチャー」や「UXデザイナー」の地位が確立しており、今ではすっかり市民権を得た語となりました。
よって、弊社ではこの「ユーザーエクスペリエンス(UX)」ということばを使うことにしていますが、重要なのは用語やその定義ではありません。
- 「お客さまの状況を理解し、より幸せになっていただくための製品やサービス設計をする」
という本質的な考え方が、製品やサービスの設計、およびそのコミュニケーションに織り込まれていくことが大切なのであり、これは今後どんなバズワードが出てきても変わることはありません。
おかげさまで設立からの10年間、国内外の多くのお客さまに調査・設計サービスを提供する機会をいただいてまいりました。これからの10年も、この本質からぶれることなく、お客さまにお喜びいただける製品・サービスを一緒に考えて行きたいと思います。ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。
2020年4月 コロナ禍の中で